外国人が起業するときに日本を選ぶ理由

最近、街中で外国人を見ることが多くなりましたよね。街によっては、日本人より外国人の方が多いんじゃないか?と思うことさえあります。笑 

 

来日する外国人の数も増えていますが、それに伴い日本で起業する外国人も増えているんです。シリコンバレーやイスラエルなど、様々な起業家大国がある一方で、なぜ彼らは日本を選ぶのでしょうか?その疑問を解決すべく、今回は「日本という地が、なぜ外国人起業家にとって魅力的なのか?」という理由を調べてみました。ぜひ、最後まで読んでみてください。

日本に外国人起業家はどのくらいいる?

まずは、現在日本に在留している外国人起業家の数を確認しておきましょう。2018年6月の法務省のデータによると、「経営・管理ビザ」の在留資格を持って日本に滞在している人は25,099人です。そのうち、中国人が13,040人・韓国人が3,114人と、アジア圏の国の人の割合が9割を占めています。ちなみに、ヨーロッパ圏で「経営・管理ビザ」の在留資格を持っている人は1,226人です。

外国人が起業するときに日本を選ぶ3つの理由

外国人起業家がどのくらいいるか把握できたところで、さっそく「なぜ、彼らが起業する地に日本を選ぶのか」という理由を解説していきたいと思います。
主な理由は以下の3つです。

1.「経営・管理ビザ」の資格が取得しやすくなった

2.交通の便が整っており、治安がいい

3.生活費が他の都市と比べて安い

では、一つずつ詳細を見ていきましょう。

「経営・管理ビザ」の資格が取得しやすくなった

まず一つ目は、「経営・管理ビザを取得しやすくなった」ということです。実は「経営・管理ビザ」は、2015年3月まで「投資経営ビザ」という名称で、2015年4月から「経営・管理ビザ」に改正されたのです。では、どこがどう変わったのでしょうか?一緒に確認していきましょう。

 

  投資経営ビザ 経営管理ビザ
対象者 外資系企業の経営者のみ 日系企業の役員でも取得できるようになった
事業への投資額 500万円以上

基本的に500万円以上
(2人以上の正社員を雇用していれば必ずしも500万以上じゃなくてもいい)

 

従来の「投資・経営ビザ」は、外資系企業の“いわゆる経営者”のみに与えられるビザでしたが、「経営・管理ビザ」に改正されてからは、外資系企業の経営者はもちろん、日系企業の経営者・役員クラスの方でも取得することができるようになっています。

 

余談ですが、「経営・管理ビザ」は“少子高齢化が進む日本に外国人起業家をどんどん呼び込んで、経済を盛り上げたい!”という日本政府の想いから改正された在留資格なんです。事実、改正されてから「経営・管理ビザ」の在留資格を持つ人は順調に増えてきています。

 

(西暦)年 「経営・管理ビザ」取得人数
2014年6月(投資・経営ビザ) 14,206人
↓2,088人増加!
2015年6月(経営・管理ビザ) 16,294人
↓3,823人増加!
2016年6月(経営・管理ビザ) 20,117人
↓2,771人増加!
2017年6月(経営・管理ビザ) 22,888人
↓2,211人増加!
2018年6月(経営・管理ビザ) 25,099人

 

2015年4月に法改正が行われたため、2015年から2016年の人数が一番増加していますね。

このように、「経営・管理ビザ」が取得しやすくなっていることも外国人起業家が日本を選択する理由の一つとなっています。

交通の便が整っており、治安もいい

二つ目の理由は、「インフラが整っており、治安がいい」ということです。やはり、首都である東京で起業する外国人起業家の方が圧倒的に多いのですが、「新宿」や「品川」など東京都区内であれば、どこにオフィスを構えても交通の便がいいですよね。

 

“郊外に住んでいても事務所へ通いやすい”ということももちろんメリットですが、一番のメリットとして“営業活動がしやすい”ということが挙げられます。東京は人口密度が高いため、ちょっと電車に乗ればお客様先へすぐに出向くことができますよね。そのため、営業に周る際も効率が良いんです。

 

また、日本は“治安が良い国”として知られていますよね。2015年のエコノミスト誌によると、世界の安全な都市ランキング1位に東京、3位に大阪がランクインしています。下記が、「世界安全都市ランキング」トップ10です。

 

1.東京(日本)

2.シンガポール

3.大阪(日本)

4.ストックホルム(スウェーデン)

5.アムステルダム(オランダ)

6.シドニー(オーストラリア)

7.チューリッヒ(スイス)

8.トロント(カナダ)

9.メルボルン(オーストラリア)

10.ニューヨーク(アメリカ)

※4つのカテゴリ(サイバーセキュリティ・医療保障・インフラの安全性・個人の安全性)を分析したランキングです。

 

「交通の便の良さ」「治安の良さ」これらの理由から、日本(特に東京)で起業をする外国人が増えているんですね。

(生活費が他の都市と比べると安い)

三つ目は、「生活費が他の都市と比べると安い」という点です。下記は、2018年時点で生活費の高い世界の都市ランキングです。

 

2017年度までは東京もランクインしていたのですが、円安の影響で2018年度は圏外となっています。

 

1位:シンガポール

2位:パリ(フランス)

同等2位:チューリッヒ(スイス)

4位:香港

5位:オスロ(ノルウェー)

6位:ジュネーブ(スイス)

7位:ソウル(韓国)

8位:コペンハーゲン(デンマーク)

9位:テル・アビブ(イスラエル)

10位:シドニー(オーストラリア)

 

ちなみに、東京で一人暮らしをした場合、平均の生活費は税金や保険料込みで14万円。対して、1位のシンガポールは家賃だけでも平均で30万円ほどかかってしまいます。

 

事業が軌道に乗ればシンガポールなどの都市に住んでもいいかもしれませんが、事業を始めたばかりの経営者にとって、生活費が高いのはネックですよね。そういった点からも、日本が選ばれるんですね。

まとめ

今回は、「外国人が起業するときに日本を選ぶ理由」をご紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか?ここでもう一度、外国人が日本で起業する理由を確認していきましょう。

・「経営・管理ビザ」の資格が取得しやすくなった

・交通の便が整っており、治安がいい

・生活費が他の都市と比べて安い

 

これらでしたね。他にも理由はありますが、上記のような理由で、日本を起業の地として選ぶ外国人が増えるのは嬉しいことです。もし、外国人経営者の方で海外進出を検討している、または海外で起業を検討しているのであれば、ぜひ日本も視野に入れてみてください。