朗報!外国人の会社設立がしやすくなりました!

“日本でビジネスをしたい!”と考えている外国人起業家の皆さまへ朗報です。外国人が日本で事業を運営するためには、「投資・経営ビザ」という要件が厳しい在留資格が必要だったのですが、実は2015年4月以降、「経営・管理ビザ」という名前に変わり、より会社設立がしやすくなったのです。

 

このページでは、「経営・管理ビザ」に改正されてから内容がどのように緩和されたのかなどを解説していきたいと思います。では、さっそく見ていきましょう。

投資経営ビザの要件は厳しかった

まず初めに、以前の「投資・経営ビザ」について知識を入れておきましょう。「投資・経営ビザ」とは、2015年3月まで採用されていた外国人経営者向けの在留資格です。外国人起業家を呼び込むためのビザでありながら、その要件の厳しさから、日本で起業する外国人はあまり増えていませんでした。以下が「投資・経営ビザ」の要件です。

 

・会社設立後にビザを申請すること

・500万円以上の資本金を用意すること

 

正直、これらは“かなり厳しい要件”なのです。では、どのくらい厳しいのか詳しく見ていきましょう。

会社設立後にビザを申請すること

一見普通なように思えますが、会社を設立するためには「日本の銀行口座」が必要なんです。3か月以下の滞在では日本の銀行口座を作ることができないため、申請するために最低でも3カ月間日本に滞在する、もしくは日本居住者に取締役になってもらって申請を進めていく必要があったのです。せっかく“日本で起業しよう!”と思っても、申請する前に諦めてしまいそうですよね…。

500万円以上の資本金を用意すること

当時、「投資・経営ビザ」を取得するためには500万円以上の資本金を準備しなければなりませんでした。そのため、親などから支援を受けたり自分で働いて準備するなど、申請の要件を満たすだけでもかなりの労力が必要だったのです。

経営管理ビザで起業しやすくなった

2015年4月以降、「投資・経営ビザ」という名前から「経営・管理ビザ」という名前に改正されました。では、何が変わったのか確認していきましょう。

(会社設立前でもビザの申請ができるようになった)

まず挙げられるのは、“会社設立前でもビザの申請ができるようになった”ということです。そのため、銀行口座の開設はビザ取得後でもできるようになりました。3ヵ月以上滞在しなくても、日本居住者のパートナーを見つけなくても申請できるため、これはかなり大きな改正ですよね!

(必ずしも500万円以上準備する必要がなくなった)

もう一つの改正ポイントとして、“500万円以上の資本金が必須ではなくなった”ということが挙げられます。ただし、この要件に関してはそこまで緩くなっていません。なぜかというと、500万円以上の資本金を用意する代わりに2人以上のフルタイム社員を雇用する必要があるからです。要は、“どちらか”は満たす必要があるということです。正直なところ、2人以上雇用するのもなかなか難易度が高いため、結局資本金500万円を選択する外国人が多くなっています。

【経営管理ビザよりももっと緩いスタートアップビザ制度】

「投資・管理ビザ」から「経営・管理ビザ」に改正されて日本で起業するハードルが低くなったということはお分かりいただけたかと思います。しかし、これで終わりではありませんよ!実は2017年頃から、「スタートアップビザ制度」というものも導入され始めているのです。

(スタートアップビザ制度とは)

「スタートアップビザ制度(外国人創業活動促進事業)」とは、外国人が起業しやすくするために、国家戦略特区に指定されている県や市が特別に導入している制度のことです。現時点で、全国で3都県(東京都・愛知県・広島県)と4市(福岡市・仙台市・新潟市・愛知県今治市)が導入しています。

 

じゃあ「経営・管理ビザ」と何が違うの?と思いますよね。結論から申し上げますと、“かなり違います”。ここで、両者の違いを表にまとめてみました!

 

経営・管理ビザ スタートアップビザ
事業地域 どこでも可 国家戦略特区のみ
要件を満たす時期 申請前 6カ月間の猶予の間

 

「事業地域」に関して、スタートアップビザは国家戦略特区に指定された上記の3都県4市に限られています。そのため、スタートアップビザを申請するならこの中から選ぶ必要があります。とはいえ、大抵の外国人が東京で起業するため、ここはあまり問題ないかと思います。

 

また「要件を満たす時期」ですが、「経営・管理ビザ」を含め通常のビザ申請では“申請前”に満たす必要があります。そのため、ビザを申請する前に“2人以上の社員を雇用する”か、“500万円以上の資本金を準備する”ことが必須です。しかし「スタートアップビザ」では、必ずしも申請前に満たさなくてもいいのです。

 

こんな感じの流れになっています。

 

(スタートアップビザ制度の流れ)

1. 創業活動計画書などの書類を福岡市へ提出

2. 福岡市が書類の内容を確認する

3. 「経営・管理ビザ」の要件を満たせる見込みがある場合、入国管理局が審査する

4. 許可された場合、6カ月間の「経営・管理ビザ」の在留資格が与えられる

5. 6ヵ月間の間に「経営・管理ビザ」の要件を満たすことができればOK!

 

簡単に言うと、“見込みのある外国人起業家には先にビザを与えておいて、ビジネスを運営しながら6カ月以内に要件を満たすことができればOKだよ!”という制度なんです。

 

今すぐ500万円準備するのは厳しいな…、とはいえ2人以上のフルタイム社員も雇えないし…という方には最適な選択だと思います。ただし、6カ月間の間に要件を満たすことができなければ6カ月の「経営・管理ビザ」で終了してしまいますので、何とか頑張って要件を満たせるようにしましょう。

補足

創業活動計画書には、以下の内容を記載します。

・事業内容…どのようなビジネスを行うのか?

・事業規模…どの規模でビジネスを行うのか?

・事業実施地域…どこでビジネスを行うのか?

・開設場所…事業所(本社)をどこに設置するのか?

・事業開始までの具体的な計画…どんな準備を経て、ビジネスを行うのか?

・創業活動資金…ビジネスを行うための資金はどのように調達するのか?

【まとめ】

今回は、「投資・経営ビザ」から「経営・管理ビザ」へ改正された内容や「スタートアップビザ」についてご紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか?

 

外国人起業家が増えて日本の経済が盛り上がるのは嬉しいことです。日本への起業を検討している方は、ぜひこの記事を参考にしていただければと思います。