外資系企業の社長、取締役の在留資格「経営管理」

このページに来て下さったということは、“日本で会社を作ってビジネスがしたい!”と思っている方ではないでしょうか。今回は、外資系企業の社長や取締役の在留資格である「経営管理ビザ」について徹底解説していきたいと思います。ぜひ、参考にしてみてくださいね。

経営管理ビザってなに?

まず初めに、「経営管理ビザ」とは何なのでしょうか?
法務省は以下のように定義しています。

 

本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動ができる在留資格のこと。

 

う~ん、よく分からないですよね。分かりやすく言うと、日本で会社の経営をするための資格ということです。“経営・管理をするための資格”なので、対象者は企業の社長や取締役ということになります。

 

ちなみに、社長や取締役は以下の条件を満たす必要があります。

・日本に住んでいる2人以上の社員(フルタイム)を雇用すること

・資本金または出資金の総額が500万円以上であること

※社長や取締役自身は社員に含まれませんので、自分以外で2人雇用する必要があります。

在留資格:経営管理の事例

ここで、法務省が挙げている「経営管理」に当てはまる事例をご紹介していきたいと思います。

 

事例1

外国人A及びBがそれぞれ500万円出資して,本邦において輸入雑貨業を営む資本金1000万円のX社を設立したところ,Aは,通関手続をはじめ輸出入業務等海外取引の専門家であり,Bは,輸入した物品の品質・在庫管理及び経理の専門家である。Aは,海外取引業務の面から,Bは,輸入品の管理及び経理面から,それぞれにX社の業務状況を判断し,経営方針については,共同経営者として合議で決定することとしている。A及びBの報酬は,事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われることとなっている。

事例2

外国人C及びDがそれぞれ600万円及び800万円を出資して,本邦において運送サービス業を営む資本金1400万円のY社を共同で設立したところ,運送サービスを実施する担当地域を設定した上で,C及びDがそれぞれの地域を担当し,それぞれが自らの担当する地域について,事業の運営を行っている。Y社全体としての経営方針は,C及びDが合議で決定することとし,C及びDの報酬は,事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われることとなっている。

なるほど…。とりあえず該当しそうだ!という方は、「経営管理ビザ」についてもう少し知識を掘り下げていきましょう。

経営管理ビザは4つのタイプに分けられる

法務省の規定によると、経営管理ビザは4つのカテゴリーに分けることができます。それぞれのカテゴリーで提出書類も変わってくるため、自分がどのカテゴリーに当てはまるのかチェックしていきましょう。

 

カテゴリー1

・日本の証券取引所に上場している企業

・保険業を営む相互会社

・外国の国又は地方公共団体

・日本の国・地方公共団体認可の公益法人

カテゴリー2

前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,500万円以上ある団体・個人

カテゴリー3

前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)

カテゴリー4

カテゴリー1~3のどれにも当てはまらない団体・個人

 

ご覧のとおり、カテゴリー1と2は大企業の場合が多く、既に社会的信用が高いため、審査に通りやすいという傾向があります。また、用意する書類もかなり少ないです。

では、いざ「経営管理ビザ」を申請するとなった場合、用意する書類はどれだけあるのでしょうか?さっそく見ていきましょう。

経営管理ビザを取得するための必要書類

まずは、どのカテゴリーの人も用意しなければならない書類をご紹介します。

 

(4カテゴリー共通の書類)

1.在留資格認定証明書交付申請書 1通

→ 法務省のホームページから取得できます。

2.写真(縦4cm×横3cm) 1葉

→ 申請前3ヵ月以内に撮影したもの

3.返信用封筒 1通

→ 定型封筒に宛先を書く&392円分の切手を貼ったもの

4.4カテゴリーのどれかに当てはまることを証明する文書

 カテゴリー1:四季報の写しなど

 カテゴリー2・3:法定調書合計表など

 

ちなみに、カテゴリー1と2に当てはまる方の書類はこれだけです。やはり信用度が高いからか、サクッと用意できそうな書類数になっています。対して、カテゴリー3と4に当てはまる方は、上記の書類の他にも用意するべき書類はまだまだあります。面倒だとは思いますが、覚悟して見ていきましょう。

(カテゴリー3と4の方の必要書類)

5.申請者の活動内容が分かる資料(いずれか)

日本の会社の役員に就任する場合

・役員報酬を定める定款の写し

・役員報酬を決議した株主総会の議事録の写し

外国法人内の日本支店に転勤する場合

・地位(担当業務)や期間、支払われる報酬額が分かる文書(派遣状,異動通知書等)

日本で管理者として雇用される場合

労働者に交付される労働条件が分かる文書(雇用契約書等)

6.日本で管理者として雇用される場合、事業の経営や管理について3年以上の経験があることを証明する文書

・関連する職務に従事した機関、活動の内容や期間が分かる履歴書

7.事業内容が分かる資料(いずれか)

・登記事項証明書の写し

・勤務先等の沿革・役員・組織・事業内容の詳細が記載された案内書

8.事業規模が分かる資料(いずれか)

・常勤の職員が二人以上いることが分かる文書

・登記事項証明書

・その他事業の規模が分かる資料

9.事務所用施設の存在が分かる資料

・不動産登記簿謄本

・賃貸借契約書

・その他の資料

10.事業計画書の写し

11.直近の年度の決算文書の写し

(カテゴリー4の方だけが用意する書類)

12.前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由が分かる資料(いずれか)

 

源泉徴収の免除を受ける機関の場合

・外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことが分かる資料

 

上記以外の機関の場合

・給与支払事務所等の開設届出書の写し

・直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書の写し

・納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることが分かる資料

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は、「経営管理ビザ」の概要から必要書類までご紹介していきました。経営管理ビザにはカテゴリーがあります。

 

自分がどのカテゴリーに当てはまるのかチェックした上で、用意すべき書類などを揃えていってくださいね。