なぜ、外国人社長はわざわざ日本で起業するのか?
グローバル化に伴い、近年日本で起業する外国人の数が増えています。
しかし、中には“なぜ日本で?”と疑問を感じている方もいるのではないでしょうか?筆者もそのうちの一人だったのですが、調べていくうちに“日本で起業するメリットはたくさんある”ということが分かりました。
そこでこのページでは、“なぜ、外国人起業家はわざわざ日本で起業するのか?”という理由を分かりやすく解説していきたいと思います。外国人起業家の皆さまへの理解が深まれば幸いです。
日本は起業家にとって最高の国ランキング2位
世界的に見て、日本は起業の地として優れているのでしょうか?結論から申し上げますと、“起業の地として日本は最高”です。米ペンシルバニア大学ウォールトンスクールと市場調査会社Y&Rの調査によると、日本は「起業家にとって最高の国ランキング」の2位にランクインしています。日本は“起業”のイメージがあまりないため、何だか意外ですよね。
このランキングでは、「インフラ」「通信ネットワークの接続環境」「教育水準」「労働者のスキル」などが重視されており、1位にビールやソーセージのイメージが強いドイツ、そして3位に起業大国のアメリカが日本に次いでランクインしています。
せっかくなので、上位9か国すべて見ていきましょう。
順位 | 国 | 評価されたポイント |
---|---|---|
1 | ドイツ | 労働者の熟練度・ネットワークの接続環境 |
2 | 日本 | 発達したテクノロジー・整備されたインフラ |
3 | アメリカ | 整備された通信ネットワーク・資金調達のしやすさ |
4 | イギリス | 発達したインフラ・法制度の整備 |
5 | スイス | 労働者の高い能力・法人税の低さ |
6 | スウェーデン | ビジネスの透明性・充実した人材教育 |
7 | カナダ | 発達したインフラ・充実した人材教育 |
8 | シンガポール | 資金調達のしやすさ・発達したインフラ |
9 | オーストラリア | 整備された通信ネットワーク・businessの透明性 |
日本が特に評価されたポイントは、「インフラ」と「テクノロジー」。確かに、東京や大阪などの大都市を想像してみると、車がなくても電車でどこへでも行けてしまいますよね。また、日本人が持つ技術力も世界に誇れるものですよね。
なぜ日本で起業する外国人が多いの?
実は、上記に記載した以外にも、“日本が起業の地として選ばれる理由”はまだまだたくさんあります。ここでは、その一部をご紹介していきたいと思います。今回ご紹介するのは、以下の3つです。
理由1:優れた人材を確保できる可能性が高い
理由2:競争環境がそこまで厳しくない
理由3:少ない資金で事業を運営できる
日本で起業すると、優れた人材を確保できる
一つ目は、“優れた人材を確保できる”ということです。例えば、起業大国であるイスラエルでは、「自分のスキルを活かして起業⇒会社を大きくする⇒会社を売却する⇒売却したお金で新たな会社を造る」という流れが自然とできる環境が整っています。対して日本では、起業をする人はかなり少ないですよね。
最近になってやっと、日本政府の中でも“起業を推進する動き”が出てきていますが、それでもまだ、“起業するリスク”を取らない若者は多いのです。とはいえ、野心を持った若者が少ないのかというと、そうではありません。“自分のスキルを活かして何かチャレンジしたいな…”と感じている人は多数います。つまり、起業家精神を持っているのに、それを活かせない人が一定数いるということです。
こういう思いを持った人たちは、“起業はちょっと難易度が高いからベンチャー企業に就職しよう”と考える傾向があります。実際、ベンチャー企業を志望する若者は年々増えてきています。(まだ20%くらいですが…)要は、日本で起業すると、高い能力を持っているのにチャンスがなくて起業できないという人を雇用することができるのです。
競争環境がそこまで厳しくない
先ほどの補足みたいになりますが、日本では起業する若者がまだまだ少ないのが現実です。有名大学を卒業した学生の中には、ベンチャー企業を志望する人も増えてはいますが、多くの学生は大手企業に就職していますよね。
しかし、これはある意味チャンスでもあります。起業する若者が少ないということは、“競争環境がぬるい”ということ。先ほども例に挙げましたが、起業大国のイスラエルでは毎年多くのスタートアップが立ち上がるため、事業内容を差別化するだけでもかなり難しくなっています。それに比べ、日本ではまだまだ多くのスタートアップが参入する余地があります。また、言い方は悪いですが、一流大学を卒業した優秀な学生の多くは大手企業に就職しているため、競合も生まれにくいのです。
少ない資金で事業を運営できる
三つ目は、“少ない資金で事業を運営できる”ということです。東京や大阪は、日本の中では賃料が高いと言われていますが、世界の大都市から見るとまだ比較的安い方なのです。
事実、不動産サービスのジョーンズ・ラング・ラサールが2017年に調査した「世界46都市のオフィス賃料(3.3平方メートルあたり)」によると、一番高かった香港のセントラルが65,274円、ロンドンが64,653円なのに対し、東京都心5区(千代田区・中央区・港区・渋谷区・新宿区)は34,688円となっています。決して“安い”とは言えませんが、インフラや治安の良さも考慮すると、かなり好条件と言えるでしょう。
<補足>
3.3平方メートルは、約1.8畳分(1坪)です。畳2枚分より少し狭いくらいですね!ちなみに、上記の賃料は大規模ビルの場合なので、事業を始めたばかりであれば小型ビルを借りることになるかと思います。その場合は、1坪あたり13,000円~20,000円ほどになるため、仮に15畳のオフィスを借りるとすると、毎月10万円~16万円くらいになるでしょう。
まとめ
今回は、“なぜ、外国人社長はわざわざ日本で起業するのか?”という理由をお伝えしていきましたが、何となくお分かりいただけましたでしょうか?インフラ、治安、資金面での事業のしやすさ…。様々なメリットが重なって、「日本(特に東京)=起業するのに最高!」というイメージが定着しているんですね。
日本政府も起業を後押ししているため、“海外で起業したい”という方は、ぜひ日本という舞台でビジネスにチャレンジしてほしいと思います。