合同会社でも外国人社長の経営管理ビザを取得できますか?
“合同会社で経営管理ビザを取りたい!”このページに来て下さったということは、少なからずこのような状況なのではないでしょうか?結論から申し上げますと、合同会社でも経営管理ビザは取得できます。このページでは、経営管理ビザを取得する上での合同会社のメリット・デメリットや、経営管理ビザの取得方法などをお伝えしていきたいと思います。ぜひ、参考にしてみてくださいね!
合同会社と株式会社の違いは?
まず初めに、“そもそも合同会社と株式会社って何が違うの?”という方に向けて、両者の違いをざっくりとご紹介していきたいと思います。
合同会社 | 株式会社 | |
---|---|---|
根拠となる法律 | 外資系企業の経営者のみ | 日系企業の役員でも取得できるようになった |
課税の方法 |
法人課税(いずれも申告義務あり) |
|
法人格の有無 |
あり |
|
設立時の必要人数 |
1人以上 |
|
設立時の出資・財産 | 各社員1円以上 |
1円以上 |
設立時の登録免除税 | 6万円~ |
15万円~ |
設立時の定款認証 | 不要 |
必要(公証人) |
定款原本の収入印紙代 | 4万円(電子定款の場合は不要) | |
定款認証手数料 | ― |
5万円 |
機関設計 | 自由に設計できる |
様々な制約あり |
最高意思決定機関 | 出資者(社員)の過半数 |
株主総会 |
業務執行機関 | 原則各社員 |
取締役または取締役会 |
決算公告の義務 | なし |
あり |
利益配当の方法 | 自由に認可できる |
原則出資比率 |
取締役の任期 | 定めなし(無期限) |
2年~10年 |
監査役の任期 | 定めなし(無期限) |
4年~10年 |
これを見ても、“う~ん…よく分からないな…”と思うかもしれませんね。では、簡単にまとめてみましょう。
・出資者と経営者が一致しているのが合同会社
・出資者と経営者が一致していないのが株式会社
そう、合同会社では、お金を出してくれた人は全員会社の経営に関わることができるんです。
そのため、もし第三者に会社への出資を依頼するときには“この人が会社の経営に関わってもいいかどうか”を判断しながら設立を進めていく必要があります。
経営管理ビザの取得に影響はある?合同会社のメリット・デメリット
ではここで、「経営管理ビザ」を取得する上での合同会社のメリット・デメリットを確認していきましょう。
(メリット)
まずはメリットを見ていきましょう。
創業時の費用が抑えられる
株式会社を設立する際に20万円の費用がかかる一方で、合同会社を創業する際にかかる費用は「登録免除税」の6万円のみです。もちろん、運営する際にはもっと多くのお金が必要になりますが、会社として登録するための費用を株式会社の3分の1以下に抑えられるのは大きなメリットですよね。また、登記に必要な書類も株式会社に比べて少ないため、手っ取り早く会社を設立したい方にはおすすめです。
設立した後の経営が比較的自由にできる
株式会社であれば、株主総会を開いて会社の方針を決定しますよね。また、配当に関しても出資金の〇%と決められていきます。一方で合同会社は、経営上の決定を社員間で行うことができます。さらに、配当も出資比率に関係なく決めることができるため、比較的経営の自由度は高いと言えるでしょう。
(デメリット)
では、デメリットは何なのでしょうか?
知名度が低いので採用で手こずる可能性がある
会社を設立する上で致命的かもしれませんが、合同会社はやはり株式会社よりも知名度が低いです。知名度が低いということは、社会的信用もそこまで高くないと思った方がいいでしょう。合同会社として求人を出しても、人が集まりにくいといったことが起こり得ます。
設立した後に社員同士が対立する可能性がある
先ほど、“経営が比較的自由”とお伝えしましたが、これはメリットでもありデメリットでもあります。特に、利益配当は出資比率に関わらず社員間で決めることができるため、配当をめぐるトラブルになることも考えられます。
※ちなみに、合同会社だからといって審査に不利になるようなことはありません。経営管理ビザの条件を満たしていれば問題ありませんのでご安心ください。
経営管理ビザ取得の3条件
合同会社だからといって審査に不利になることはありませんが、当然ながら条件を満たしていなければ許可は下りません。そこで最後に、経営管理ビザ取得の3条件を確認していきましょう。
条件は以下の3つです。
1. 事業を行うための事業所が確保されていること
2. 2人以上の日本に居住するフルタイム社員がいること
3. 事業が安定していて継続性があること
では、一つずつ詳細をチェックしていきましょう。
事業を行うための事業所が確保されていること
当然と言えば当然なのですが、申請する前に事業を行うための場所を確保していなければなりません。要は“ここでちゃんとビジネスをしますよ~”とアピールするためです。
基本的に、自宅とは別の場所に独立したオフィスを構えなければなりませんが、自宅兼オフィスとする場合は、それぞれの場所が明確に区別されている必要があります。また、契約期間の目安は2年以上です。
2人以上の日本に在住するフルタイム社員がいること
経営管理ビザを申請する際には、日本に居住する(日本人・永住者・日本人の配偶者・永住者の配偶者・定住者に該当する方)フルタイム社員を2人以上雇う必要があります。
※アルバイトはNG
しかし、もし2人以上雇うのが厳しい場合は、事業に500万円以上の投資をすれば2人以上の社員を雇っているのと同等と見なしますよ~という風になっています。要は、どちらかを満たせばOKということです。
事業が安定していて継続性があること
経営管理ビザを申請する上で一番重要なのが、「事業の安定性&継続性」。入国管理局側としても、わざわざすぐに倒産しそうな会社の経営者にビザを交付したくはないですよね…。そこで、事業の安定性&継続性を証明するための「事業計画書」の提出が必須になります。事業計画書には、事業内容や経営プラン、資金計画などを明確に記載する必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、合同会社の経営者が経営管理ビザを取得する上でのメリット・デメリットや、経営管理ビザの取得方法をお伝えしていきました。合同会社は設立が簡単というメリットがありますが、その反面、株式会社よりも知名度が低いというデメリットがあります。メリット・デメリットどちらも把握して、自分にどちらが合っているのか検討しながら申請を進めてみてください。